株式会社水域ネットワーク【津波シミュレーション・解析コンサルタント】

《遠地津波の計算》

 太平洋側の地域ではチリ津波など日本のはるか沖合より伝播してくる遠地津波が設計津波の対象になることがあります。弊社ではこのような遠地津波に対しても球面座標系と直交座標をつなげたモデルで数値シミュレーションを実施することができます。大洋を伝播する場合には、地球の丸みとコリオリ力を考慮した球面座標系を使う必要がありますが、近地に到達した津波に対しては、直交座標系を利用した方が便利な場合があります。そこで、弊社のモデルでは、球面座標系と直交座標系をつなげるため、横メルカトル図法(ガウス・クリューゲルス法)と呼ばれる平面直角座標系やUTM座標系などで利用されている手法を用いて境界面をつなぎ、津波解析を実施しています。
 また、ご要望に応じて直交座標系を使わずに、遠地から近地まですべて球面座標系で解くことも可能です。



チリ津波解析例

《地滑り・津波統合モデルによる地滑りと津波の数値解析》

上層を水、下層を土と仮定した二層流を基礎式とした地滑り・津波統合モデル(柳澤ら、2014)で、地滑りとそれに伴う津波のシミュレーションを実施します。このモデルを使うことで、海や湖に地滑りが突入する際に発生する津波の大きさや浸水範囲、また地滑りの到達範囲や移動速度など、水と土に関する動きを同時に評価することができます。またパラメータを変えることで、土石流による津波を表現する今村ら(2001)や渡島大島津波を再現できるIoki et al.,(2018)のモデルにすることもできます。

以下に、1792年に発生した雲仙岳眉山の崩壊による津波のシミュレーション動画を載せました(柳澤ら、2014)。この津波では、約15,000の方が犠牲となりました。島原(長崎県)で山体崩壊が発生し、その対岸の肥後(熊本県)で津波による大きな被害がでたことから、「眉山大変肥後迷惑」という言葉が作られ、その災害の教訓が現代にも伝えられています。

1792年雲仙岳眉山崩壊とそれに伴う津波(有明海津波)のシミュレーション動画